遺書8

以前まで自分はリスクマネジメントがうまい人間だと思っていたけど全くそんなことはなかったみたいでなんだかふわふわと失敗続きの日々をくらしている。卒論のテーマについてぼんやり考えながらそれでも全く思考がまとまらなくて、それでいながら何かいつもやりたいような、やりたくないような不思議なまいにちだ。やりたいことは確かにある、今日だって明日のためになんかチョコレートケーキかなんか、買ってあげようかななんてことを思ったりしているくらいだし、15時現在大学にいて、17時からのアルバイトに向けてどのように行動しようか(つまり車を街中まで走らせて適当なパーキングに停めようか、家に帰ろうかとかそういったこと)、街中にはやく行って何かしようか、家にはやく帰ろうか、ギリギリまで大学にいて大学の近くに停めて地下鉄でバイトまで行こうか、その選択肢はほぼ毎回バイトのたびに浮上する。この思考過程に他の人例えばA君の行動などがからんでくる場合の決定は単純でそれは楽で魅力的なのだが、今日はわたしの意思のみが決定権を握る。本当に本当に自分というものがなく、決定打に欠ける程度の意思しか持ち合わせていないのが悔しい、結果的にしんじゃおうかなというところまで落ちていくからタチが悪い。

 

遺書8

 

環状通りを抜けて

知らない道に出る

夜はまだ明けない

星もない朝の途中

雪の轍がハンドル

揺れる車内の音楽

ビート、対向車の

ライトとぶつかる

まだ帰りたくない

死んだように走る

まだ終わらないで

助手席手を握って

体温を交換してる

話題はありあまる

タバコの煙窓の外

赤い光がこわくて

そらす情緒不安定

わたしの毎晩の夢

開かないドアの黒

キーケースの金属

注射器が落ちてる

夢の中でもずっと

ずっとずっと運転

それしかないかな

そうみたい、かな

ないみたい、まだ

完全受注生産型の

アンドロイドとか

電気羊とか明晰夢

世界がぎんいろに

もう私どこにでも

行きたいとこない

終わりが怖いだけ

半回転して、浮遊

バックビート心臓

怖い怖いやめたい

消えることが怖い

愛してるを教えて

許しながら壊して

はみだしてる存在

宇宙の本当の意味

ばかじゃないから

いつも一人だけど

ピンクのレースの

バカ女のふりでも

すればよかったか

飴はおいしいけど

夜は絶対じゃない

バカみたいだよね

バカなんだけどさ

背わたを取ってよ

エビじゃないけど

海がいいな夜なら

山は怖いからまだ

怖いことばっかだ

なんで生きてるの

重たい心とからだ

死んだように運転

生まれ変わったら

なにになろうかな

 

時間の使い方バグってる、何してんだマジでバカか、アホだな、誰か腕でも頭でも髪でも引っ張って連れ出してくれよ、意思なんてなくていいからさ、お前はここにいろって誰でもいいから、本当にバカだな、居場所なんてはじまった時からないんだよ 死にそうになりながら顔色伺ってご機嫌とりでもしない限り生ゴミ食って藁の上で眠れないんだよバカじゃないの頭が悪くて嫌になる、みんなどうやって生きてんの私もそれやりたいここで溺れて死ぬ